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歓迎、歓迎。 こちらは七葵の創作ブログです。 オリジナル・二次問わず置いております。
17 . July
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16 . February
ついに勢いづいて書いちゃいましたよ。
何をって、○×リア。しかも、ヒーローと海賊紳士。
久々の版権もので、何暴走してんだって感じですね。

とりあえず、どうぞご覧下さい。



*****

no title

 こんなに小さい手だったかな。
 アルフレッド・F・ジョーンズは目の前で華麗なまでにてきぱきと動く手を見つめながら思った。自分の手を見つめたあと、もう一度彼の手を見る。やはり、小さい。
 今まであんなに戦いを繰り返していたのだから、もう少しごつごつしていてもいいのに、その手は自分の頭を撫でてくれたときのまま、しなやかで綺麗だ。
 鼻歌を歌いながら、アーサー・カークランドはテーブルを飾り付けていく。その姿も昔と変わらない。
今日はこれから客人が来るのだという。招かれざる客であるアルフレッドのことは、コーヒーを出したあとはまったくかまう気配がない。たとえ、出されたそのコーヒーがアルフレッドの好みの豆、かつ挽き方であっても正直面白くない。面白くないと口に出すのは簡単だが、この年になって、という気持ちがあるのは確かだ。
そんなわけで、先程から飽きずにアーサーの手を見つめ続けている。
テーブルの中央に置かれた小さな花瓶には、庭で咲いているものと同じオールドローズが飾られている。彼のお気に入りである銀製のスイートミートスタンドに、綺麗にケーキやスコーン、クッキーを並べていく。
「…それは、君の作ったお菓子ではないよね」
 焦げていない、と確信をこめて言うと、キッと睨まれた。
「てめぇの分はないからな」
「そんなことを言われても、俺は食べるよ」
 そう言って、綺麗に並べられたお菓子の中からスコーンを取り、アーサーが止める間もなく口に入れる。
「てめー!このクソメガネ!」
「だって、まだこんなにたくさんあるじゃないか!俺がひとつくらいもらってもいいだろう!」
 そういえば、昔もこうだった。アルフレッドが外で遊んでいる間にアーサーがアフタヌーンティーの準備をする。においを嗅ぎつけたアルフレッドがこっそりとテーブルに忍び寄って、アーサーが見ていない隙にお菓子をつまみ食いする。そして、ばれて怒られる。
「まったく。お前は本当に変わってないな」
「…変わったよ」
「あ?」
「俺は、変わった」
「な……」
 手を伸ばし、アーサーの手を握る。彼の手は、想像していたよりは固かったが、それでも自分の手よりは小さかった。
 守りたい、と思ったときの手のままだった。その手を口許に寄せ、軽く口づける。
「君を守れるくらいには、成長したつもりだ」
 小さく呟いて、アーサーを見上げる。
 余りにも唐突な出来事に、何が起きているのか理解できていないらしい。目を大きく見開き、こちらを凝視している。
「アーサー?」
「―――う、うわあぁぁぁっ!」
 一瞬にして真っ赤になったアーサーは手をふりほどき、口づけられた場所をこれでもかというくらいにこすっている。
「何しやがる!」
「何って…したいから、しただけ」
「するなっ!」
 ひとこと叫ぶと、アーサーはキッチンへと駆け込んだ。それを追ってキッチンへ行くと、案の定、手をシャボンまみれにしてゴシゴシと洗っている。
「人をバイキン扱いして……」
「うるさい!帰れ!」
「やだ」
 アルフレッドはアーサーの背後に立ち、その腰に両腕を絡める。ぴたり、とアーサーの動きが止まる。
「誰が来るか、見てるんだ」
 誰が来るのかは知らない。その客人のために嬉しそうに準備をしているアーサーを見ているのは面白くない。けど、帰れと言われて帰るのはもっと嫌だ。せっかく、会いに来たのだから。誰が来るのかだけでも知りたい。
 子どもじみた嫉妬心。それは十分にわかっている。
 腕の中で、アーサーが体を反転させた。瞬間、彼の両手がはね上がり、大量のシャボンがアルフレッドの髪やら顔やら服やらに飛びかかる。
「何するんだ!」
「こっちの台詞だ、バカ!離せ!」
 その言葉と同時にふたたびアーサーの手がひるがえり、シャボンが飛んでくる。
「不意討ちなんて卑怯じゃないか!」
「不意討ちはどっちだ!あんなことしやがって!」
「あのー、お取り込み中すみませーん」
 新たな声が聞こえ、ふたりでふり向くと、フランシス・ボヌフォワがニヤニヤしながら立っていた。背後には本田菊が気まずそうにいる。
「チャイム鳴らしても出てこないから、お楽しみ中かと思ったよ」
「ど…どこから見てた……」
 アーサーの低い声にフランシスはニヤニヤしたまま、どこからかなぁ、ととぼけている。
「お邪魔かと思って、声をかけようか迷っていたんだよね」
「まったく邪魔だよ。いいところだったのに」
「どう見ても、いいところには見えませんでしたよ」
「とりあえず、フランシスとホンダは向こうで座って待ってろ。今、お茶を淹れるからな!」
 取り繕うように言うアーサーに、ごゆっくり、と声をかけるとフランシスは菊の肩に手を回そうとした。しかし、ぴしゃりと叩かれる。ふたりで何やら言い合いながらリビングへ向かった。
「客って、あのふたりだったんだ」
「本当はホンダだけだったんだけどな。何であの野郎まで…」
 憎々しげに、フロッギーめ、とブツブツ呟きながらアーサーはシャボンを流している。
「じゃあ、俺はいてもいいね」
「帰れ」
「こんなシャボンだらけじゃ帰れないよ」
 アーサーがちらりとふり向く。おどけたように肩をすくめてみせると、はぁーっと盛大な溜息をつく。
「…着替え、用意しておくからシャワー浴びてこい」
 そういえば、泥だらけで帰ってきたときも同じように言われていたっけ。
 はぁい、と子どものような返事をして、アルフレッドはシャワールームへ向かった。その背中を見て、アーサーはもう一度大きく溜息をつく。
「余計なとこばっかり成長しやがって……」

 
口づけられたところだけが、やけに熱かった。


End
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